あれはまだ
我が家に小学生が
四人いた頃だっただろうか
何かがなくなったり
壊れていたりすると
私は決まって四人集めて
誰なの?と
問いただした
四人はそれぞれに
口を合わせたかのように
「知らない」と言う
この四人以外に考えられない私は
連帯責任だからと言って
誰がやったか分かるまで
家に入らなくていいからと
ベランダに出した
私が四人を置いて行こうとしたその時
上から三番目の長女が
自分がやったと
泣きながら言った
悪いことの殆どを
長男と次男で受け持っていたこの頃
意外にも
いつもいい子の長女だった
この娘でも
こんなことをするんだと
その時の私は思った
あれから何年経っただろう
高校生になった長女と
子どもたちが小さかった頃の思い出話を
していた時
あの日のベランダでの出来事を
「私はやっていなかったけど
やったと言った」と
長女が話し始めた
私は今でも
あの日
あのベランダでのことを
振り返ることがある
|