風香の蝶の舞う丘「ホームページ一覧」 - 川柳の小部屋 

短歌3(2007〜2023)

パート1 あ行


当たり前みたいになった優しさに ありがとうって感謝を込めて

あの時はゴメンと軽く言われても 石に刻んでもう消せません

あの人がそう言うのには訳がある 何年かのち身を持って知る


いい風にゆらゆら揺れて嬉しそう クルクル回れコスモスの花

言うだけの人はいいなと言ったから 言うのが仕事なのねと答え

生きて百年いずれは終わるそれまでは 生きる姿を見せておきたい

生きることちゃんと寝ること食べること それが出来たらやりたいことを

一日の無事感謝してまた眠り 一日の無事祈り働く

いつだって一緒だったねありがとう 今も変わらず私の中で

いつだってスキップしたくなるような 心ずーっと保っていたい

居なくても寂しくなんか無いんです 私自身があの人だから

亥の年に生まれた子が二人 三十六と二十四歳

いろんなこといっぱいあった夏が去り 秋が優しく手招きしてる


美しく咲いた姿を湖が 写し出してる紫陽花の花


Aさんはハッキリ言うのとBさん 私を誘う理由はそこね


思い出と夢を残していった君 身軽になって宙を旅する

パート2 か行


駆け抜けて来た人生に卒業し あとはゆっくり行こうじゃないか

枯れそうになって鏡の中に居る 私らしさを仕舞っていたら


気が付けば空飛ぶ翼与えられ 餌を探して飛ぶゆりかもめ

昨日聞いた娘が元気でいるうちに 死にたいなんて母の願いは

教習所通ってた頃教官が 隣の席でこんな顔して


クルクルと回ればいいと作られて いい風を待つコスモスの花

車椅子を押し寝ている父の枕元 半年ぶりに母と会わせる


献血の斜め向かいで横たわる 笑みを湛えた友が手を振る


こうすれば良かったなんて過去よりも 笑顔で今を元気に過ごす

子育ても親の介護も一区切り 出来ることから手を付けてみる

子どもの頃一緒に遊んだあの頃が 昨日のことのように思えて

この先は終わらせるしかない命 神様止めてくれないかしら

子に支えられ親の言葉に支えられ 自分自身に言い聞かせつつ

パート3 さ〜な行


桜並木のアーチの下を散歩する パワー貰える爽やかな朝


獅子舞や凧揚げ羽根つき駒回し 思いを馳せる遠いあの日に

実家では転んだ母が父の世話 それでも義母と居なきゃならない


スピーカーの電話の声に次々と 舞い出る蝶を思い浮かべて


せいぜいあと数年と言い雨の中 会社へ向かうお盆前日


凧揚げと羽根つきをして楽しんだ お獅子喜び福招く春

ただ浮かぶ頭の中の文字を読む 作らずに読む飾らずに読む

立ち回るその場しのぎの偽りで 終わるはずなし償いなしに

食べ終えた頃に薬と白湯を持ち 飲み終えるまでそっと見ている


次に来る冬に備えてもう特訓 春夏秋冬時また巡る

慎ましく欲張らないで普通にね 自然のままに流れのままに


どこにでもあること詠めば感謝され 思ってること言ってくれたと

ドライアイを涙やさしく潤ませる 父を見舞いに向かう私に

年頃の子を持つ友と語り合う 孫も同居も望んでないと


寝ていると思えば不意に立ち上がり 食い入るようにテレビ観ている

年内に済ませたかった健診の 取れた予約は七草明けて

パート4 は行


初めてのお宅もまるで気兼ねなく 一緒になって美味しいねって

話さずに居たら余裕も出来るのね 遅い電話の声の注意で

晴れて今日立派になって初舞台 あの時会ったあの君たちが


酷ければひどい分だけウケるわね 面白過ぎるあなたの話

昼までに戻ればいいという母を 乗せて走らす病院帰り


膨らませ夢を叶えて実らせて いろどり添えて今も輝く

太ったと理由を付けて吸い始め 二キロ痩せたら禁煙だとか

振り返る過去は許して受け入れて 全て任せた貴女の笑顔

振り向けばアッという間の人生も ゆく道なんとけわしく長い


ボランティアも趣味もいいけど程々に 余裕時間で楽しむものね

パート5 ま行


まあまあと切って貰ったこの髪も やはり自分でカットするわね

丸くやさしく愛と光を降り注ぐ 月でウサギがお餅ついてる


見上げれば見事な数の羽子板と 駒描かれし凧が連なる


無駄なことしたくはないと言うあなた 先は言うほど短くないわ


もったいないなんて思って着たらダメ 二度とは来ない今日という日に

モモちゃんが可哀想だと甘いパパ ふたりまとめて叱ってるママ

パート6 や行〜


雪の上ギュギュ音立て歩いてく 心のもやもや押しつぶすように

指差して教えてくれた月を見る 君の素敵な笑顔重ねて

ゆるめてもどこかピーンと一つだけ 張っておきたい心の糸を


良い時を見つめてくれる人がいる ほんのわずかな一時だけど

欲は去り詫び心のみ残されて 旅立つ時を待つ人となる


ラーメンを食べて帰ると娘の電話 カレー作って待っていたのに


私の年になれば分かると言っていた 義母の言葉を噛みしめながら

パート7(2022)


居なくてもいい幸せも寂しさも だから何って言われちゃうわね

今までのどの時よりも今がいい いいと思えることの幸せ


神様に一生分のお願いを あの子が出来る前にしたから

熊出たらどうしようかと気にしてる 紅葉愛でる至福の中で

コロナ禍だなんていつまで言ってたら もう永遠にその日は来ない


幸せも壊れる時は簡単な アッと言う間のジグソーパズル

人生の旅に不安は付きものと 思いつ歩くただただ歩く


抱っこした猫の手持って振っている 優しい人ね可愛い猫ね

食べない方がもっといいよと言う息子 体にいいと食べる私に

食べられて寝れて歩けて見え聞こえ 読めて話せて友や子も居て


何年も掛けて築いて来た夢も アッと言う間のジグソーパズル


まだ歩けまだ食べられてまだ寝れて まだ見え聞こえ言える幸せ


私の年になれば分かると聞いていた 先の話が我が身に迫る

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このままじゃ倒れるまでは使われる いっそ倒れてしまおうかしら

このままじゃ倒れるまでは使われる いっそ逃げてはどうかだなんて

ポッケから風が飛ばしたメモ用紙 さて買う物は何だったっけ

新年に玄関先に居た狸 写真見ながら今年も暮れる

話す度俺が見つけた狸だと 一年になる招福狸

運動の話になるとばあちゃんの 駆けっこ自慢で終わる食卓

白くなった山を眺めて散歩する 背中やさしく包むお日様

困難の中にも見えている光 目指し歩めば道は開ける

壊れたら取説見ろと言う家電 いつでも直ぐに買っているのに

ジャイアンに似ているなんて笑ったり チャンネル変えて生きるのもいい

パート8(2023)


天国へ一足先に旅立った 皆々様に待って頂き

親族や一緒の趣味をする友や 気心知れた友とこの世で

おいとまする日々の支度は欠かさない この体には戻れない旅

生かしておいたら払ってやれるそう言った ばあちゃんすでに百歳越えて

搬送された病院目指し義母の後 追って行くこと三十キロ先

もうダメと思ったコロナ乗り越えて 流石ばあちゃん百寿は強し

何年も前に使っていた物を 捨てたのかとか不意に言われて

七日目に退院ですと電話あり 十日目までは療養だとか

その度に命の危機にさらされて 寿命あればとこの頃思う

パート9(202☆)


☆ ☆ ☆ 

2023年1月更新



☆川柳の小部屋

ホーム へ