風香の蝶の舞う丘「ホームページ一覧」 - 川柳の小部屋 

短歌3(2007〜2025)

パート1 あ行


愛想尽きそれでも一緒逃げたらと 言われたけれどまだここにいる

明日などもう無いかもと思いつつ 届いた服は今すぐに着る

当たり前みたいになった優しさに ありがとうって感謝を込めて

暑かったあの日懐かし薄物と 仕舞う夏の日一緒に終わる

あの時はゴメンと軽く言われても 石に刻んでもう消せません

あの人がそう言うのには訳がある 何年かのち身を持って知る

溢れるような孫のパワーを少しだけ もらい電車で帰る夕暮れ

雨の日は散歩のかわり温泉へ 待ち侘びていた早朝の雨


いい人と思えるうちに離れたら もっと私は良い人だった

いい風にゆらゆら揺れて嬉しそう クルクル回れコスモスの花

いい物とありがたそうに食べていた 私の体は拒んでいたのに

いい遊山させて貰いと笑みこぼす 母の分もと温泉につかる

言うだけの人はいいなと言ったから 言うのが仕事なのねと答え

いがぐりも柿も実を抱き照り返す 炎天の下秋を待ちおり

生かしておいたら払ってやれるそう言った ばあちゃんすでに百歳越えて

生きて百年いずれは終わるそれまでは 生きる姿を見せておきたい

生きることちゃんと寝ること食べること それが出来たらやりたいことを

一日の無事感謝してまた眠り 一日の無事祈り働く

いつからか娘の手下と夫言う 孫のためよとそっと頼めば

いつだって一緒だったねありがとう 今も変わらず私の中で

いつだってスキップしたくなるような 心ずーっと保っていたい

いつだって方向転換Uターン 自分のことは自分で守る

いつの間に盗まれたことになっていた 病院に置き忘れたバッグ

居なくてもいい幸せも寂しさも だから何って言われちゃうわね

居なくても寂しくなんか無いんです 私自身があの人だから

亥の年に生まれた子が二人 三十六と二十四歳

今までのどの時よりも今がいい いいと思えることの幸せ

今までの中で一番いい時が 今と思えることの幸せ

いろんなこといっぱいあった夏が去り 秋が優しく手招きしてる


美しく咲いた姿を湖が 写し出してる紫陽花の花

運動の話になるとばあちゃんの 駆けっこ自慢で終わる食卓


AIと付き合うコツは先ず休む 疲れた私甘い誘惑

AIと付き合うのなら先ず休む 人はくたびれ相手は平気

AIと話はずんで上の空 届かぬままに夫のプレゼン

AIと話はずんで上の空 耳に届かず夫の話

Aさんはハッキリ言うのとBさん 私を誘う理由はそこね

笑顔咲くその瞬間に会いたくて 色とりどりの花を咲かせる

駅に向かう連休明けの曇り空 一駅ごとに増える乗客


思い出と夢を残していった君 身軽になって宙を旅する

おいとまする日々の支度は欠かさない この体には戻れない旅

お口もぐもぐ初めて味わう孫の顔 いいな人生始まりの味

置く場所があるんだからと言うあなた 共同生活ストレスの日々

怒りだけ笑わせるのは思うように いかないだけのそんな日々かな

落ち葉踏み気持ちいいねと届いた写真 聞こえて来そう踏みしめる音

落ち葉踏み気持ちいいねと届いた写真 踏みしめる音胸に響いて

おばあちゃん来てよと孫が駆け寄りて 大きくなった自転車見せる

パート2 か行


駆け抜けて来た人生に卒業し あとはゆっくり行こうじゃないか

貸切のバス乗るような休日に いつもと違う景色眺める

カタツムリ子どもの頃の宝もの 出会いし日々のぬくもり残る

神様に一生分のお願いを あの子が出来る前にしたから

枯れそうになって鏡の中に居る 私らしさを仕舞っていたら


気が付けば空飛ぶ翼与えられ 餌を探して飛ぶゆりかもめ

季節越え色とりどりの花咲かせ 笑顔のもとへ運ぶ紙細工

昨日聞いた娘が元気でいるうちに 死にたいなんて母の願いは

樹の前に季節めぐりてひとり立つ 耳にやさしく葉音ゆらめく

休日の朝の静けさ人通り 頭を初期化したい気分で

教習所通ってた頃教官が 隣の席でこんな顔して


空元気の私を励ます伸びる影 その明るさに背中押される

首かしげ水面を覗く白サギの ひととき同じ時に寄り添う

熊出たらどうしようかと気にしてる 紅葉愛でる至福の中で

クルクルと回ればいいと作られて いい風を待つコスモスの花

車椅子を押し寝ている父の枕元 半年ぶりに母と会わせる


献血の斜め向かいで横たわる 笑みを湛えた友が手を振る

健康に良いと信じて食べていた どうやら私体に悪くて


こうすれば良かったなんて過去よりも 笑顔で今を元気に過ごす

校庭にこぼれる声を聞きながら 背すじ伸ばしてまた歩き出す

紅葉の頃なお育ちゆく西瓜かな 収穫の日をそっと待ってる

紅葉見るあの日の写生よみがえる 時間に追われ筆走らせて

子育ても親の介護も一区切り 出来ることから手を付けてみる

子どもの頃一緒に遊んだあの頃が 昨日のことのように思えて

この先は終わらせるしかない命 神様止めてくれないかしら

このままじゃ倒れるまでは使われる いっそ倒れてしまおうかしら

このままじゃ倒れるまでは使われる いっそ逃げてはどうかだなんて

子に支えられ親の言葉に支えられ 自分自身に言い聞かせつつ

子守り付きただで泊まれる良い実家 そう思ってる親だけかしら

子守りの帰りまだ幼く10ヶ月の頃 だったと思い出すような月

コロナ禍だなんていつまで言ってたら もう永遠にその日は来ない

壊れたら取説見ろと言う家電 いつでも直ぐに買っているのに

困難の中にも見えている光 目指し歩めば道は開ける

パート3 さ〜な行


さあ散歩と思う私を止めに来る 鼻が出るとか目が痒いとか

最近話作ってるんじゃないかって 言われてしまうことが増えたね

桜並木のアーチの下を散歩する パワー貰える爽やかな朝

里芋の煮転がし見て母思う 炊飯器でと娘に教わる


幸せも壊れる時は簡単な アッと言う間のジグソーパズル

刺激受け床を這いつつベゴニアを 撮ったと届く鮮やかなる赤

獅子舞や凧揚げ羽根つき駒回し 思いを馳せる遠いあの日に

四十過ぎいつも元気で我が子あれ 親の願いは変わらぬままに

実家では転んだ母が父の世話 それでも義母と居なきゃならない

白くなった山を眺めて散歩する 背中やさしく包むお日様

ジャイアンに似ているなんて笑ったり チャンネル変えて生きるのもいい

車種よりも近さ優先選び取り 代車も要らぬ徒歩で済ませて

11月で終えるつもりがあれこれと まだまだ残る気づけば師走

新入りの猫に囲まれ暮らしつつ 見送ったのは長年の友

人生の旅に不安は付きものと 思いつ歩くただただ歩く

親族や一緒の趣味をする友や 気心知れた友とこの世で

新年に玄関先に居た狸 写真見ながら今年も暮れる

新緑の桜並木の下歩く 風に吹かれる葉音聞きつつ


炊飯器スイッチ入れてお買い物 遠回りして紅葉愛でつつ

炊飯器スイッチ入れて遠回り 紅葉愛でて帰れば炊ける

数年後若いななんて思うけど 老けて見えてたあの日の写真

少し良いと言われて剥いたとライン来る 吊るした柿の写真を添えて

スピーカーの電話の声に次々と 舞い出る蝶を思い浮かべて

スマホ耳にありがとうってお辞儀して 日本のこころに笑みこぼれけり


せいぜいあと数年と言い雨の中 会社へ向かうお盆前日

選挙問う未成年はで電話切る 私は老いた高齢者なり

先日のような去年の出来事も 遠くなるのね年が明ければ


その度に命の危機にさらされて 寿命あればとこの頃思う

そんなに話したいのかって怒りだす 変わりはないとだけ返すメール


高枝切り鋏のような長い首 便利に伸びるキリンの姿

だから困るじゃなくてだけど終わるよね いずれ全てが流れて消える

だから困るじゃなくてだけど終わるよね いずれは終わる時を迎える

凧揚げと羽根つきをして楽しんだ お獅子喜び福招く春

出したばかりの服を仕舞って冬支度 短い秋にそっと手を振る

ただ浮かぶ頭の中の文字を読む 作らずに読む飾らずに読む

闘いに少し疲れて愚痴ったら そうだねなんて共感してよね

立ち回るその場しのぎの偽りで 終わるはずなし償いなしに

抱っこした猫の手持って振っている 優しい人ね可愛い猫ね

食べ終えた頃に薬と白湯を持ち 飲み終えるまでそっと見ている

食べない方がもっといいよと言う息子 体にいいと食べる私に

食べられて寝れて歩けて見え聞こえ 読めて話せて友や子も居て

黙っても人は勝手に思うもの 違いは言うか言わぬかのこと


駐車場スマホに向けて深々と ありがとうの声空に響けり

駐車場スマホに向けて深々と 見えぬ相手に礼尽くす声

散る前に足を伸ばせば雨の中 撮りし紅葉家で眺める


次に来る冬に備えてもう特訓 春夏秋冬時また巡る

慎ましく欲張らないで普通にね 自然のままに流れのままに

爪切って後で気付いた切り残し 忙しかったね私と笑う


天国へ一足先に旅立った 皆々様に待って頂き


どこにでもあること詠めば感謝され 思ってること言ってくれたと

友からの写真に映える鉢ケヤキ 秋の色へとゆるり染まりて

友だちと会う日明け方見た夢は 約束忘れ慌ててる夢

ドライアイを涙やさしく潤ませる 父を見舞いに向かう私に

トランプをしようと孫が誘い来る スマホを見れば暇に思われ

年頃の子を持つ友と語り合う 孫も同居も望んでないと


なぜか良い理由は分からぬけれど良い 分かる人には分かるのだろう

何もかも捨てて忘れて原点へ 荷をおろすたび身は軽くなる

七日目に退院ですと電話あり 十日目までは療養だとか

何年も掛けて築いて来た夢も アッと言う間のジグソーパズル

何年も前に使っていた物を 捨てたのかとか不意に言われて

女房の付き添いでって言うけれど 付き添って来た私の前で

寝ていると思えば不意に立ち上がり 食い入るようにテレビ観ている

年内に済ませたかった健診の 取れた予約は七草明けて


乗せやすい車ほしいと娘言い 孫のためよと夫に頼み

のんびりと命ゆっくり終わらせて 楽しい今を重ねていこう

パート4 は行


初めてのお宅もまるで気兼ねなく 一緒になって美味しいねって

初孫と喜んだ日が懐かしく 高校生になる春を待つ

初雪に触れて笑顔の孫娘  青空覗く記念の一枚

話さずに居たら余裕も出来るのね 遅い電話の声の注意で

話す度俺が見つけた狸だと 一年になる招福狸

母もまた立ち寄りし道思い出す 湯へゆく前の公園めぐり今は孫と行く

腹が立つ過去の扉に鍵をかけ 開いて出してまた仕舞い込む

晴れて今日立派になって初舞台 あの時会ったあの君たちが

搬送された病院目指し義母の後 追って行くこと三十キロ先


日差しぬく落ち葉ひらひら舞う空に 山の彩り深まりゆけり

酷ければひどい分だけウケるわね 面白過ぎるあなたの話

昼までに戻ればいいという母を 乗せて走らす病院帰り


膨らませ夢を叶えて実らせて いろどり添えて今も輝く

太ったと理由を付けて吸い始め 二キロ痩せたら禁煙だとか

振り返る過去は許して受け入れて 全て任せた貴女の笑顔

振り向けばアッという間の人生も ゆく道なんとけわしく長い

触れるもの見るものすべて初めてで 赤子木陰に落ち葉と遊ぶ


ベランダに柿の種入り糞ひとつ サイズ形状ハクビシンかな

ポッケから風が飛ばしたメモ用紙 さて買う物は何だったっけ

歩道には歩く私の長い影 背にはぽかぽかお日さま浴びて

ボランティアも趣味もいいけど程々に 余裕時間で楽しむものね

パート5 ま行


まあまあと切って貰ったこの髪も やはり自分でカットするわね

舞い降りて来たらチャンスは逃さない いつどこへでも行かれるように

前にも言ったことだけどとか断りつつ 吐き出している渦巻く言葉

孫の世話してくれた親をふと思う ありがとうしかもう言えなくて

まだ歩けまだ食べられてまだ寝れて まだ見え聞こえ言える幸せ

守るためそう決め続けもう9年 いずれ終わるか不自然な日々

丸くやさしく愛と光を降り注ぐ 月でウサギがお餅ついてる


見上げれば赤み深まる山の色 天気予告の鳥の声聞く

見上げれば見事な数の羽子板と 駒描かれし凧が連なる

ミッフィーとみかんあの手この手の作戦で なんとか食べる離乳食かな

民宿のように迎える準備して 長女一家が猫連れで来る


娘たちが子らを遊ばす昼下がり あの日の私とふと重なりぬ

娘らが見つめる先の子らの背に 秋のひかりがやさしく包む

無駄なことしたくはないと言うあなた 先は言うほど短くないわ


巡りゆく季節を見送りやがてまた 花開く時愛でる喜び

目にしたら凄いねなんて笑おうか イラつく心はもう置いてゆく


もうダメと思ったコロナ乗り越えて 流石ばあちゃん百寿は強し

もったいないなんて思って着たらダメ 二度とは来ない今日という日に

モモちゃんが可哀想だと甘いパパ ふたりまとめて叱ってるママ

パート6 や行〜


雪の上ギュギュ音立て歩いてく 心のもやもや押しつぶすように

指差して教えてくれた月を見る 君の素敵な笑顔重ねて

ゆるめてもどこかピーンと一つだけ 張っておきたい心の糸を


良い時を見つめてくれる人がいる ほんのわずかな一時だけど

良い物を摂るよりむしろ悪い物 減らす方こそ楽に生きられ

欲は去り詫び心のみ残されて 旅立つ時を待つ人となる


ラーメンを食べて帰ると娘の電話 カレー作って待っていたのに

離乳食も頼める店で子連れの娘と 待ち合わせする昼のひととき


私の年になれば分かると言っていた 義母の言葉を噛みしめながら

私の年になれば分かると聞いていた 先の話が我が身に迫る

パート7(2026)


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パート8(202☆)


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2025年12月更新



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