私がまだ
お勤めをしていた頃のこと
同級生の妹さんが入社して来た
お姉さんを知っていた私は
すぐに親しくなれた
それからしばらくして
我が家に彼女が遊びに来た
その時父が
「何人兄弟?」と聞いた
社交辞令のようなものだ
彼女は「私一人です」と答えた
後になって
私と二人だけになった時
彼女が言いました
「姉のこと
言わないでくれたんだね
ありがとう」と
私が彼女を知った時には
もうすでに
お姉さんは自殺してしまっていた
あの日のことを
私は今でも思い出す
思い出しながら
自分に言い聞かせる
言う必要のないこと
聞く必要のないこと
相手の身になって
考えなければならないということ
大切なのは
本人だということを
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