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風香の詩1のパート8

*その中で生きる


ある日突然
犬はくさりに繋がれ
自由を奪われる
最初は嫌がって
抵抗する
しかしそのうちに諦め
鎖に繋がれた生活にも慣れ
それが当たり前になってしまう

人もまた
ある日突然
自由を奪われることがある
最初のうちは
逃げたい気持ちになる
反発する時も
あるかも知れない
しかしそのうちに諦め
その中で生きて行くことを
考えるようになる

2002年06月14日

*心に染みた


エプロンをして
「お母さんのお手伝いするから何でも言って」と
ニコニコ顔でやって来た六歳の末娘

本当は早く済ませたかった私
仕方ないなと思いながら
「カレーを作るから
玉ねぎとジャガイモと人参を
切ってちょうだい」

娘は慣れない手付きで
言われた通り
全部切ったあと
玉ねぎが目に染みたらしく
「目が痛いよ」と目を抑えながら
「お母さんの大変さがわかったよ」とポツリ
その言葉が私の心に染みた

2002年06月14日

*何も言う必要はない


罪を犯した人は
確かに悪い
何を言われても
仕方ないことだ

しかしその為に
罪もない人たちまで
その罪に
巻き込まれてしまうことが恐い
巻き込まれてしまうことが悲しい
何の罪もない周りまで
何の罪もない家族まで

その中には
何も知らずに
同じように見られてしまい
ある日突然笑顔を無くす
罪もない子供たちも
いるかも知れない
私も子を持つ親
それを思う時心が痛む

自分は何もしていなくても
自分の身にだって
いつ降りかかって来るかも知れない
何も言う必要はない
ちゃんと裁いてくれるはずだ
そう信じたい

2002年06月14日

*姉妹


末娘と
すぐ上の男の子との
開きが八歳

この末娘の次女と
長女との開きが九歳

もう赤ちゃんは
生まれないものと
子供たちの着れそうな服は
人に回した

末娘がお腹に出来たと
分かった時から
また服を仕舞っておくことにした

その末娘も六歳半に成長し
今ではお姉ちゃんの靴下を
はくようになった
お姉ちゃんのジャンパースカートも
着れるようになった

お姉ちゃんはその姿を見て
「ワーこれお姉ちゃんの」と
ニコニコしながら
妹をサッと抱き上げた

2002年06月14日

*雨


小雨の中
高校へと出掛けて行った息子
しばらくすると
雨はかなり降って来た
そしてケータイの音
案の定「車で来てくれないか」と
息子の頼む時の声

「すぐは行けないよ」と
強気で答えてはみたものの
雨は次第に量を増して来た
大急ぎで息子を追う

時には半分本気で腹が立つことさえある
まだ反抗期をやっているような息子だ

それでもこんな時には少しでも
早く行ってやりたい気持ちにかられる

ところが
私の心とは裏腹に
前をゆっくり走る車

その車の為に私の後ろには
もう何台もの車
仕方ないなと諦めの境地で
しばらくゆっくり車を走らせていると
傘もささず濡れながら
自転車を走らせている
我が子の後姿を見つけた

ちょうど家から五キロ地点だ
あと高校まで十一キロ

2002年06月14日

*素敵な時


食べることよりも
寝ることよりも
やりたいことが
あるなんて
なんかいいなって
思うな

家事をしてても
散歩してても
楽しいと
思えるなんて
幸せだなって
感じる

お花は美しく見え
仔犬は可愛いと思える
そんな風に
感じられること
素敵だなって
思ってしまう

2002年06月14日

*娘


息子達に対しては
祈ることが多かった
怪我をした時も
試験を受けた時も
学校に行きたくないと
言った時も心から祈った

いつもいい子の娘は
何も祈る必要がなかった
いつも元気で
いつもいい子で
親を困らせることが無かった
親に心配をかけることが無かった
受験の時でさえ心配はしなかった
特別に祈る必要も無かった

担任の先生から
受験した高校がダメだったと聞かされた時
私は祈りました
どうか
間違いであって下さいと

悲しんではいないだろうかと
心配している私の思いをよそに
「高校へ行って見て来るね
もうこれで行けなくなるから」と
笑顔を見せ出掛けて行った娘

娘は母より強い
そして挫折を知った娘は
人の痛みのわかる
優しい娘に成長してくれるに違いない
神様はきっと必要だったから
与えて下さったのでしょう

2002年06月14日

*涙


冷たい言葉に

負けなかった涙が

優しい言葉に

もろくも溢れ落ちる


冷たい態度に

負けなかった私が

あなたの優しさに

涙がこぼれ落ちる

2002年06月14日

*受験発表(先生からの知らせ)


担任の先生が
娘の受けた高校が
ダメだったと
伝えて下さった時
先生の悲しい思いも伝わって来た
先生には
「娘の相談に乗ってやって下さい」と
お願いしました

そして娘には
「先生可哀想に
心配してる先生を
慰めてあげて
○○ちゃんが先生を助けてあげて」と
娘には言いました

2002年06月14日

*受験発表の日


「○○、□□高校ダメだったの
△△△高校の方は受かっているから
こちらに決めたから」と
電話で長男に伝えると

「母ちゃん、大変だな!」と
私立でお金が掛かることを
心配していた

同じことを
無口な次男に話すと
「馬鹿だなぁ〜」と一言

お姉ちゃんに
頭の上がらない三男に話すと
親指を立て
その手を上に挙げ「ニッコリ」

幼い六歳の次女に話すと
困ったような顔をして
「お姉ちゃん可哀想だから
お姉ちゃんの好きな物
いっぱ〜い買ってあげよう」と
小さいなりに
一生懸命

おばあちゃんに話すと
「残念だったね」と言った後
「良かったじゃない
私は私立の方がいいと思うよ
お金のことは心配しなくていいから」と
優しく微笑みながら

夫に電話で伝えると
「そうか」とだけ
そして夕方
「お祝いの用意はしてあるか?」との電話

勿論してある
娘の行く高校の
制服を注文して
おじいちゃんのお墓にお参りして
娘の好きな物を沢山買って来ました
今日は娘の門出の日

2002年06月14日

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