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風香の詩11のパート4

*父


病室で付き添う私に
父は多分
「もう帰れ」って言うだろう
そして明日になったら
「ちょっと来いや」と言うだろう

何も言わなくても
私には分かるんだよ

ただ、今まであったはずの明日が
本当にあるかどうか
分からなくなってしまったから
なかなか帰れないでいるんだよね

でもそろそろ帰らなきゃ
「もう帰れ」って
また言われないうちにね

そしてまた明日も
きっと

2009年10月18日 06時14分28秒

*我が家の姫


娘がお風呂で歌ってる
まるで
お城に閉じ込められた
お姫様が美しい声を
轟かせている様に

しばらくすると
私の目の前に
お姫様とは程遠い
元気な娘が現れた
そうそう
我が家の元気な
姫である

2009年10月18日 06時15分22秒

*花は未だ


長い人生
山もあれば谷もある
死にそうに
なった位で逝くものか
もうダメと
思ってからが
スタートさ
最後の最後の
最後まで
諦めないって事なんだ
花は未だ
散っていないし
枯れてない
助かる道はきっとある

2009年10月18日 06時15分59秒

*いい予感


いやな事
ひとつ選んで
済ませましょ
いらない物
ひとつ選んで
捨てましょう
いい笑顔
ひとつ選んで
飾りましょ
いい言葉
ひとつ選んで
書きましょう
ひとついい事
いい予感

2009年10月18日 06時16分42秒

*皆様へ そして父へ


十月五日には
「今晩はもたないだろう」と
思われていた父でしたが
命のともし火を
最後の最後まで
燃やしつくして
よく頑張ってくれました
きっともう
燃やすものが
無くなってしまったのでしょう
十月十三日一時三十六分
最後は穏やかなものでした

一年という病院生活
本当にご苦労様でした

父と一緒に過ごす
貴重な時間を作って頂けたことに
感謝しています

本当に「ありがとう」
ゆっくり休んで下さい

2009年10月18日 06時17分27秒

*約束


「おじいちゃんが
居なくなっても
お母さん、ちっとも
そんな気がしないの
いつでも
そばに居る気がして
ちっとも寂しくないの
不思議ね」
と、娘に話すと
「私の時もそうして」
と、娘が言う
私も「そうだね
そうするね」
と、娘に言う

2009年11月10日 20時35分12秒

*行けば良かった


「あした死んでも
いいように
百まで生きても
いいように
考え考え
生きていこ
やりたいことは
やっておこ・・」って
自分がそうなることは
考えていたのに
相手がそうなる事など
考えていなかった
行こうって誘われた時
すぐ行けば良かった

2009年11月10日 20時36分15秒

*ありがとう


父の命があとわずかと
知らされた日から
私は父が居る病院から帰るとすぐに
夕飯の用意、お風呂、洗濯
犬の散歩を済ませ
翌朝になるのを待って
夫と子どもを送り出し
おにぎりを持って
また父の病院に向かう
それを四日続け
その後 三連休が終わってから
父は静かに眠るように逝った

すぐに
さよならはしないで
しばらく一緒に居る時間を作ってくれた

子供の頃のように
ゆっくり過ごせた時間

私がこれから生きて行く為に
必要な時間

本当に最後まで
ありがとう

2009年11月10日 20時36分58秒

*心配いらない


時の流れの中で

全ての出来事が

自然に

終わりを迎える

何の心配もいらない

2009年11月10日 20時37分58秒

*母の心配


父が居なくなって
お金のこと
いろんなこと
年老いた母は
心配ばかりする

私が付いてるんだから
何の心配もいらない
私が居なくても
私の子供たちが居る
だからね
心配はいらない
自分のことだけやって
元気でいられたら
それだけでいいからね

2009年11月10日 20時41分13秒

・・☆


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