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風香の詩7のパート6

*娘の笑顔が戻った日


お父さんの勧めで

娘はエレクトーンを始めたが

数回行っただけで

「やめたい」と言いだした

お父さんに叱られて

やめられなくて

嫌々ながら

お稽古に通っていた



エレクトーンを始めて

一年半が過ぎた三年生の夏

今度は剣道をやりたいと言う

すぐに入りたいと言う娘に

「良く考えてからにしなさい」と言っておいたが

娘は二回の見学のあと入会した

楽しそうに剣道に行く娘を見ながら

続けられるだろうと思っていたら

「四年生か五年生になったらやめようと思う」と

ニコニコしながら言うではないか

娘は最初からそう考えて入っていたのだ

しばらくしてお父さんから剣道の話が出た時に

その話をすると「やめちゃダメだ」の一言だった

「途中でやめる訳にはいかないよ」と

娘に言い聞かせて連れて行ったが

そのうちに「行きたくない」と言い出した

娘は「剣道をやめたい」と

私には、はっきり言うのだが

お父さんには何も言えなかった

お父さんに呼ばれて

「剣道やるよな?」と聞かれても

怖いお父さんには何も言えない



このあとも何度となく

他の兄弟やおばあちゃんも居るところで

娘の剣道のことが話題に上ったが

結局娘は泣くばかりで一言も言えず

お父さんの「やめちゃダメだ」で話が終わった



「やめたいのにやめさせてくれない」と言う娘に

やめたいなら「やめたい」って

ちゃんと言ったらいいでしょう

そう話しても娘はお父さんが怖くて

「剣道の話はしないで」と耳を覆うばかりだ



その後「体調が悪い」と

休みがちだった娘を

「四年生になったら

どうするか分からないけど

三月までは入会しているのだから

とにかく練習に行こう」と言って

剣道に連れて行った

娘は「今まで、こんなに悲しいと思ったことはない

やめたいのに、やめさせてもらえない」と

しきりに訴えながらも

これ以上休めないことも理解していた



嫌がっていた昇級審査も

ずっとついてるという約束で

前日は、お弁当の材料の買い出しにも連れて行った

その夜、娘はふたり分のお弁当箱とお箸を自分で選び

テーブルに並べてから休んだ

この娘は、小さい頃から

お弁当を持って出かけるのが大好きだったのだ



初めての昇級審査

娘たち仲間五人

全員仲良く六級になった



娘は言った

「エレクトーンは、やめたいと思っていたけど

剣道をやってみてエレクトーンなんて

どうってことないってことが分かったよ

エレクトーンは、続けるからね」



今年度の剣道の練習も

二週間後に一回行くだけとなったこの日

お父さんも、おばあちゃんもお兄ちゃんもいる夕食の時

私は思い切って切り出した

「みいちゃん、剣道の練習もあと一回になったけど

四年生になったら、どうするの?

今日、役員さんにどうしますかって聞かれたんだけど

どうする?」

お父さんを前にして

娘は思っていることが何も言えない

代わりに夫が答えた

「やめちまえ」と大きな声で

そしてドアを半分開きかけたところで

「そうやって足を引っ張っているんじゃないか」と

私に向かって捨てゼリフまで残して出て行った

夫の姿を見送ってから

娘を見ると、ここ数ヶ月見たことがなかった笑顔になっていた

これで娘は

いつもの娘の顔になる



翌朝、お父さんの怒鳴る声で目が覚めたと

起きて来た娘

「大丈夫だよ」と私

2005年05月25日 22時56分58秒

*泣いてる心


私は我慢

出来るけど

私の心はおびえてる



おびえる心に

大丈夫って

作り笑顔で

言い聞かせたり

泣いてる心に

悪かったのは

私なのよと

反省したり



私は泣いたり

しないけど

私の心が泣くのです

2005年05月25日 22時55分19秒

*春が来た


お風呂に入る時

鏡をのぞいたら

何だか前髪が

うっとうしく見えたから

洗面台にゴミ箱を置いて

少しだけ切ってみる

ついでに

厚い部分をすいて

軽くしてみる

何だか私の元にも

春が来たみたい

2005年05月25日 22時53分44秒

*何事もなく


何かあっても

大事にはならず

困った時には

助けてもらい

何事もなく無事に

生きていられるのは

おじいちゃんや

おばあちゃんたちが

ちゃんと立派な土台を

築いてくれていたから

就職を前に帰省した

長男に話した



私もちゃんと

築いて行こう

子供たちが

何事もなく

無事に生きて

行かれるように

2005年05月25日 22時52分26秒

*鳥の気持ち


流れる川で

突き出た石に

とまる鳥を見ながら

子供の頃を思い出していた

庭の水溜りに石を置きながら

石の上に乗って

向こう側まで伝わって

遊んだこと



水溜りに石を置いて

立った時の気持ち

鳥の気持ちに

なってみる

見ていただけでは分からない

やってみれば

分かるかもしれない

どうして

そうしているのか

どうして

そうしたいのか

鳥の気持ちに

なってみる

2005年05月25日 22時50分49秒

*経験がない子供たち


四年生になったら

やめようかな〜って

剣道クラブに

入ったんだって言う娘



四年生になって

クラス替えになっても

彩子先生に

当たればいいって言う娘



そうはいかないんだよって

身をもって体験することが

いいことなのかな

前もって分かった方が

楽だってこともあるよね

経験がない子供たち



剣道はやめられなくて

先生には会えなくなるって

進級を目前にした三月

小さな胸を痛めて

悲しい目をしている娘



悲しいことや辛いことを

乗り越えて

一回り成長した娘を

早く見たいな

先生は

ずっと 三年梅組の先生だから

ずっと お元気で

みんなを見守っていて

欲しいな〜

2005年05月25日 22時49分33秒

*てんとう虫の思い出


急に暖かくなって出て来た

てんとう虫が

寒そうにジッとしていたのが可哀想で

両手で温めてやっていた

可哀想で長いこと温めてやっていた

でも、いつまでも

そうしている訳には行かなくて

「ごめんね」って

何べんも謝って

その場に

てんとう虫を置いて

私はその場を離れた



あれから、あのてんとう虫のことを

何回思い出したことだろう

何百回かもしれない

何千回かもしれない

あれから、四十年は過ぎている

2005年05月25日 22時48分07秒

*福寿草


子供の頃は

福寿草の絵をよく描いた

まず最初に描くのが鉢植えの梅

その後が福寿草



わたしの子供の頃は

もっと雪も多くて

今みたいに

こんなに暖かくはなくて・・・



福寿草の次に描くのが黄梅

そのあとに描いた記憶はない

多分、暖かくなって

外遊びに夢中だったのだろう

2005年05月25日 22時46分01秒

*「桜漬けの毎日」


時間に追われる毎日の中で

どれだけ振り返った言葉だろう

「桜漬けの毎日」



あなたが優しそうなのは

桜の花を いっぱい見てた からかしら

あなたがとても強いのは

紅葉を いっぱい見てた からかしら

あなたの心が広いのは

枯れた花も 枯れ木も愛せる 人だから



わたしも外へ出かけよう

四季折々の景色の中へ



優しさもパワーも

貰えるような気がする

暑い夏も 寂しい秋も 寒い冬も

もっと楽に

生きられるような気がする

そんな

気がするから

2005年05月25日 22時43分59秒

*春を迎える


カレンダーをめくったら

そこは春のはずなのに

すぐそこまで来ている春に

手が届かない

お雛様も風邪をひいてしまいそうな

まだ寒い雛祭りの日

年賀状の整理も

済んでいない私の元へ届いたのは

「私はもう来年の賀状用画稿に入りました」

という便り



暖かくなったらしようと思っていると

今度は暑くなる

涼しくなったらしようと思っていると

今度は寒くなる

そんな私の元へ届いた素晴らしい絵手紙



「凄い人も居るものだな〜」と感心しながら

何だか少し真似をしたくなって来た

来年の年賀状は無理だけど

春を迎えるための準備

そろそろ始めるとするかな

2005年05月25日 22時40分35秒

・・☆


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