今も私には見える 小さなあの子の泣く姿 雪が舞う中 幼い吾が子がただ独り 私を待って泣いている 娘が未だ 幼稚園に通っていた頃 お年寄りの施設に ボランティアに行った帰りの日 お迎えが遅くなると 出先から連絡したはずなのに 娘はいつもと変わらずに待っていた 子どもを泣かせてまで することではないと 思い知らされたあの日 今もあの日が蘇る ドアを開けた時の匂い 真っ赤なヤカン 火にかけたことも忘れちゃって 居眠りしてるおばあちゃん 一番下が 小学校に入ったからと 初めて通い出した ヨガ教室から帰った日 家を出かける時には ポットのお湯もあったはずだけど どこにも寄らずに帰ったのが良かった お年寄りを独り置いて することではないと 思い知らされたあの日 何か別のことをすると 何かが疎かになる 今の生活を犠牲にしてまで することではない いつの日かまたと 夢だけにして
|