大空を赤く染めて「あしたも晴れる」と約束して沈む太陽大地を暗くして「もうおやすみ」といたわり沈む太陽私も足を止め沈む太陽に向かって声をかける「ありがとう」と
エレクトーンの発表を終えて戻って来た末娘がポケットから石を取り出して頬をつけながら嬉しそうに言った「失敗しなかったのはこれのお陰」家を離れて暮らしてる長男の小さい頃の宝物の石
*紅葉やがては散る美しい花のようにやがては落ちる紅葉の美しさよ芽吹いた頃の若葉を思い出しながら葉の一生を考えていた今まさに美しく紅葉したその葉をもう一度じっと見つめるあとわずかの命来年もまた新しい命となって生まれて来ることを約束している紅葉
*のんびり気長に疲れたり忙しかったら休めばいいのんびり気長にやればいい出来る時はさっと一気にやるのもいいあとはのんびり気長にやればいい
*向かう道傷つく度に心が揺らぐ傷つく度に歩を緩める霧の中で周りが見えなくなったら霧が上がるのを待つように心が癒されるのを待つ歩を緩めて向かう道を探しながら次第に癒されるのを待つ心の霧が上がったら向かう道がはっきり見えて来る
「災害に備えて現金だとか通帳だとかすぐに持って逃げられるようにまとめておいた方がいいよね」って言ったのに「命さえあればいい」って気楽なものだ命さえあれば大丈夫だって保障されたみたいで大きな安心に包まれる大きな気持ちになれたところでさっ私は準備をするぞ
かわいくてつんで遊んだ猫じゃらし遠いあの日の幼い私と猫じゃらし今は娘が同じことおんなじように遊んでる私は母の顔になりそっと娘を見つめてるダブらせながら見つめてる猫じゃらしいつも見るたび思い出す遠いあの日の幼い私と若い母月日は流れて黄昏にキラキラ輝く猫じゃらし私は大人の顔になりそっと静かに見つめてるダブらせながら見つめてる
赤いお花が実をつけた紫色の実をつけたそれを見ていたもの達は紫色はおかしいとみんな口々言いましたみんなに何を言われても赤いお花は知らん顔紫色の実をつけた幸せそうな赤い花
悲しかった辛い思いが気を付けさせてくれるから失敗した苦い思いが気を付けさせてくれるから失敗したことも悲しかったこともわたしの財産になった
数あるススキの中でそうです今日はあなたが選ばれたのですお日さまの照明を一身に浴びてススキは踊るそのダンスは日が暮れるまで終わることはなかった一日の終わり長い長い夕暮れ時の一こま
もしも素敵なスタンドがわたしのお部屋にあったならあなたにお手紙書くでしょう思いのままにペン走らせ心の全てを書くでしょうもしも素敵なスタンドのやさしい光を浴びたなら素直な心になれるでしょすぐにケータイ取り出して心の全てを話します
パソコンの中の鮮やかなモミジをジッと見ていたらマウスを握っているはずの手が私の中では思い切り開いてる決心でもするかのような強い心になってモミジをジッと見ていたその心は鮮やかに紅葉したモミジの心
大きく引き伸ばして八年前からみんなの部屋に飾ってある家族の集合写真あれ以来家族八人が一緒に写真を撮ることはない長男が中学二年たまたま部活がなかった休日久しぶりに家族そろって温泉に行った日車から降りてぞろぞろ歩きながら思わず通りかかったおじさんに「すみません写真撮ってください」って私がお願いした普段着のままで荷物を持ったままあまり人には見せたくない写真あれ以来撮ることはない記念の家族八人の集合写真
人の心は単純ではないうれしくなくても相手の好意を思いありがとうと言うから好きなのに恥ずかしくて嫌いと言うからありがたいのに照れくさくてうるせえと言うから人の心は難しいけれどじっと待っていたら本当の心話してくれるかしらそっと見守っていたらあなたの心見えて来るかしら
*きれいに染まるきれいなものを好きなのはやさしい心の人だから目から入ってきれいに染まる心も染まるきれいに染まるあなたの心が広いのはきれいなものを見てたから
働き者の人の体はかわいそう疲れても休ませてはもらえないから我慢強い人の体はかわいそう何を訴えても聞いてはもらえないから体の声に耳を傾けることもなく我慢させて人生の半分以上を生きてしまったもう付いて来てはくれなくなった体を見つめながら今になって思うこと
コンビニの駐車場水溜りの中の色鮮やかな落ち葉を見つけた娘は車から降りるとすぐにもみじの葉を拾ってコンビニの車に何枚かくっつけてぞうさんの車もみじ号だねってわんぱく坊主のような笑顔で言ったお買い物したレジの前もみじ号の話をすると後で見るの楽しみってコンビニのそうさんはヨン様のような笑顔になった
またひとつ年が増えちゃうって思っているのに心の奥の方からは頑張らなくちゃと言う声が聞こえて来るいくつになっても若いって思える自分に会いたくて磨いたり鍛えたりいたわったり
いつも先を見て今が終わることを願っていた子の成長を願っていたら私が年を取ってしまった春の訪れを願っていたら父や母も年老いた子の成長も花開く春ももう願ったりはしない過去でもない未来でもない今を大切に生きるだけでいい
*年の暮れ落葉樹が惜しげもなく美しい葉を落としたようにわたしも抱えきれない荷物は整理して新しい年を迎えたいもう今年も終わる
同じこと何度も何度も話すのはあなたに聞いてほしいから分かってくれる人だから何度でも何度でもいいよね
同じ言葉なのに冗談と軽く笑える時もあれば心に重い時もある同じ体なのに身軽に楽しく動ける時もあれば重く感じる時もある同じ場所なのに爽やかな風が吹いてる時もあれば重い空気の時もあるその時々で違う重さでも、どんな場合も変わらないこの地球に生きる人としての人の重さ
*素敵な今に 一番輝いていた頃をもう一度思い出してみようよ思い出せたらあの頃の気持ちになってあの頃と同じことをしてみようかおしゃれして同じ場所へ出掛けてみようかあの頃とは違うもっと素敵な今に出会えるかもしれない
長かった一月が終わりに近付いて来ると立春が待ち遠しくてその立春が過ぎても実はまだまだ冬の中寒いのにもいい加減うんざりした頃でも、大丈夫その二月は一年の中で一番短く出来ているのですそして、春三月別れの日が一日でも遅くなるように長いのですみんなが困ることがないようにちゃ〜んとうまく出来ているのです
誰にでも分けへだてなく降りそそぐ太陽のようになれたらいいなわたしもあなたのようにそうなりたいなつづられた文字が私の心を動かすきのう届いたやさしいお便り
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